事務所では、家電量販店から買ってきた無線LAN機器の使用をお勧めしたくない。というのが私の持論です。そうは言っても、無線LANの使い方によって変わって来ますので、今回は無線LANの使い方にポイント絞ってみたいと思います。

ノートパソコンの導入をきっかけに、無線LANを導入するというユーザは多いと思います。スマホやタブレットのように、無線LANでしかネットワークに接続できない機器も増えてきています。それらの機器の接続を、無線LANの「部分適用」という名前を付けておきます。

それに対し、フロア全体や社内全体に無線LANを張り巡らせるパターンを「全体適用」とします。

  • 部分適用:無線LAN搭載機器のネットワークへの接続を目的とする
  • 全体適用:有線(LANケーブル)を無線LANに置き換える=ネットワークインフラの組換

部分適用

部分適用の対象となる機器は、ノートパソコンを筆頭として、スマホ、タブレット、プリンタ、デジカメなどがあります。このような機器を接続するための無線LAN装置は、家庭用の無線LAN親機で事足りる場合がほとんどです。接続方法も簡単で、スマホなどは、カメラでQRコードを読み取るだけで、接続設定が完了する機種も少なくありません。便利な世の中になったものです。

以前の投稿でも書きましたが、この簡便性が無線LAN全体のセキュリティレベルを下げていることを知っておいて下さい。セキュリティレベルが高い方式で接続しても、簡単な接続手段を放置していると、いつのまにか外部からの侵入を許してしまうことになります。

部分接続は、接続機器の説明書をよく読めば、大概はうまくいくと思います。が、ついつい接続機器が増え、家庭用無線LAN親機の能力を越えてしまい、接続できないというトラブルにみまわれますので、ご注意下さい。

全体適用

無線LANは物理的なケーブルを必要としません。その利便性から、社内全体を無線LAN化したい、という相談をよく受けます。しかし、部分適用とはレベルの違う作業となるので、十分な時間をかけて準備をしていくことになります。

全体適用に向けて知っていてほしい事

家庭用無線LAN親機は使用しない

全体適用に求められる機能を持っていないので、使用できません。使用する機器は、法人向けの「アクセスポイント」というものとなります。

無線LAN機器の二重化が必須

無線には傍受・混信・妨害などの無線特有のトラブルが有ります。有線だとLANポートを差し替えるだけで解決するようなトラブルも、無線LANの場合は、機器の交換といった事態になる可能性が高くなります。安定した運用には無線LAN機器の二重化が必須です。

全無線LAN化はハイリスク

「全部無線LANにして」と言われることがありますが、前項の無線LAN特有のトラブルにみまわれた場合、全社のネットワークがダウンする恐れがあります。そのような事態を避けるため、基幹ルータとアクセスポイントを結ぶ基幹のラインは、有線で配線します。

バックアップ回線を設ける

無線LANは有線LANに比べ、安定性の点で少し劣ります。無線LANが使用できなくなった際に、有線での接続ができるように、バックアップ用の有線HUBを用意しましょう。

無線LAN全体をマネジメントできる仕組が必要

無線LANの全体適用は、部分適用よりはるかに管理の手間が増えます。適切な機器を選択することで、無線LAN全体を効率よく管理できるので、機器の選択時にはその点を重視して下さい。

 

 

無線LANの全体適用は、高度な無線LANに関する知識と経験が必要となるので、まずスキルを持った業者に相談することをお勧めします。

【法人ならば、無線LAN の使い方を明確にしてから導入すべし】