家電用無線LAN親機の利用はお勧めしたくないと、何度か語ってきました。今回は家庭用の機器と法人用の機器にどんな違いがあるのか、基本的な事に絞って説明してみたいと思います。

パソコンにも個人向けと法人向けのモデルが有ることはご存知かと思います。個人向けは「一台で誰でも何でも出来る」ような仕様ですが、法人向けは「使用するユーザ側で仕様を決める」ということになります。

無線LANも同様の考え方となります。家庭用は「一台で何でも出来る:ルータ機能、スマホ対応、簡単接続、ファイル共有 etc」となり、法人モデルは「知識を持ったユーザが一から設定、機能は無線LANへの中継のみ」という事になります。

20150727-01-02
【図1】法人モデルの機器構成例

法人でネットワーク機器を組む場合に、図1のように機能を細かく分けて構成します。それは主に二つの理由からで、ひとつは各機器への負担を減らす、もうひとつはトラブル発生時のリスク低減、となります。

法人モデルのもう一つの特徴は、耐環境性にあります。バッファロー製の最新モデルで比較すると、個人向けモデルの動作環境:温度0~40℃・湿度10~85%、法人モデルの動作環境:温度0~50℃・湿度10~90%、となり、明らかに法人モデルの方が過酷な環境に耐えられるようにできています。

利用する上での大きな違いは、想定している接続数と、管理機能の有無に有ります。事務所内で無線を利用されている人数が3名程度なら、私の他の投稿を読んでいただい上で、家庭用を利用されるのはやぶさかではありません。接続数も少ないですし、管理機能の必要性も低いと思います。

家庭用と法人用の重要な相違点をまとめてみました。

モデル 推奨接続数 管理機能
家庭用無線LAN親機 10台以下 ×
法人モデル 25台~100台

法人モデルの管理機能の具体的な例は、メーカのWebサイトを見て頂く方がいいと思いますので、参考にバッファローを載せておきます。

無線LANシステム集中管理ソフトウェア : WLS-ADT (バッファロー)

見ていただくと分かりますが、無線LANの状況が一目瞭然となります。利用状況からトラブルが発生の通知まで幅広くカバーしているので、ネットワーク管理者には力強い見方となります。管理を業者に任せる場合も、これがあればトラブルの切り分けも早く出来、早期の復旧が可能になります。

法人モデルの特徴をまとめておきます。

  1. 値段が高い:個人用の2~3倍
  2. ルータ機能がない:基本的に別にすべき
  3. 接続可能台数が多い:法人には必要な能力
  4. 一括管理ができる:複数台導入が前提だから重要(ソフトは別売)

無線LANを導入するためには、ネットワークそのもの知識と経験が必要となりますので、必ず専門の業者に相談して下さい。

【法人の無線LAN導入は、家庭用の機器は使わず、まずは専門の業者に相談すべし】